情シスの業務内容とは?実は知られていない会社規模による違い
情シスというのは事業を行っている会社の「システム・IT」を担当する組織です。よって、情シスの業務・仕事内容というのは会社に依存するため、「これだ」と明確に説明するのが難しいという背景があります。
情シスの業務・仕事内容に一番大きな影響を与えるのは会社の規模です。そして、その規模によって「直接支援中小企業型」「IT全部一般型」「基幹中心大企業型」3つに分けることができます。これは、会社規模によって情シスが担当する業務・仕事内容が変わるということを意味しています。
世の中にでまわっている情シスの業務・仕事の情報は、この規模を意識していません。会社の規模を意識をしていないと、仕事・業務自体がそもそも情シスに存在しないといったことがあります。
大きい会社では、小さい会社にはないセキュリティやガバナンスの業務の比率が高くなります。上場している会社ではかなり重い業務です。
小さい会社では、複合機などOA機器を扱わなくてはならない場合もよくあります。大きい会社だと総務が担当していたりします。
※情シスの業務・仕事内容を担当という考え方他で5つに分けた記事はこちらでどうぞ
直接支援中小企業型は、直接的にITで助けたい人におすすめ
「直接支援中小企業情シス」はその名の通り、中小企業によく見られます。組織としては、総務部のなかにIT担当として存在していたり、情報システム部が存在していても非常に少人数の場合を指します。
ITやデジタル、コンピューターや機器といった言葉がつくと全部担当になります。
特徴的な点は3つ。
一つ目は、OA機器を担当することが多いです。プリンタや複合機、電話などです。会社の規模が大きくなると、一般的には総務部が行う仕事になります。
二つ目は、会社のコーポレートサイトの運用を行なっています。同様に会社の規模が大きくなると、広報やマーケティング、経営戦略といった部門が担うことが多いです。
三つ目は、お金が潤沢ではなかったりするので情シスメンバー自らが手足を動かすことが多いということ。パソコンやサーバーの設定、アカウントの発行、ソフトのインストールなど。問い合わせ対応はもちろんの事、トラブル時には自ら現場に行き、解決にあたります。基幹システムや業務システムはパッケージをそのまま利用することが多く、機能が足りない部分をマクロやRPAで自らの手で作るということもよく見ます。
ガバナンスはもちろんですが、セキュリティが甘いのは事実です。大量の個人情報が平文で普通にメールで送られていたりとかよく見ます。
IT全部一般型は、IT全体を俯瞰して仕事をしたい人におすすめ
IT全部一般型は、世の中の多くの人が思っている「情シス」のイメージに一番近いです。組織も、企画・開発・運用・保守・ヘルプデスクといった機能を明確に持ちます。ITと名のつくものは全て情シスの担当になります。
会社の中計・戦略からシステムのグランドデザインを書いたり、ロードマップやデジタル施策における計画などを作り、実行をします。ある程度の知見をもった方はとてもやりがいをもって仕事ができます。
特徴は3つ。
一つ目は、行なっている事業においてシステム化がすすむため、事業部のシステムを見ることが多くなります。そうなると、それまでやっていた基幹システムの知識(人事・給与・会計など)だけでは不十分となります。「情シスは業務のことをわかってないから、頼りにならない」「守りのITばかり」とか言われるのをよく見ますが、情シスの成り立ちはコストセンターなんです。まずはここを理解してから前に進まないとといつも思います。
二つ目は、この規模になると自分で手足を動かすことは少なくなり、ベンダーマネジメントが主となってきます。同様に、事業部門とのコミュニケーションも重要になってきます。企画や提案といった超上流工程、要件定義やUAT、運用・保守が主な仕事になります。また、情シスはいくつかの課にわかれるというのが一般的です。
三つ目は、セキュリティに対してまわりがうるさくなってきます。それまで便利さの追求で進めてきた活動に、ブレーキがかかります。ガイドライン・ルールを作ったり、それを運用したりといろいろ新しい苦労が増えます。
基幹中心大企業型は、専門性を極めたい人におすすめ
会社規模が大きくなってくると、業務部門側にもITを専任で担当する人や、ITを担当する部署ができます。最近では、全事業横串や社長直下にDX推進といった組織ができたりします。つまり、情シスが知らないところで、システムがどんどんできてくると言うことになります。
特徴は3つ。
一つ目は、基幹システムでやることが非常に多くなると言うことです。子会社・グループ会社との会計連携や経費精算処理などは非常に複雑になってきます。人もたくさん増えますので、人事システムに求められる要件も非常に増えます。言い換えると、専門性を極めることができます。
二つ目は、情シスが知らないところでシステムが増えますのでシステムに関するガイドラインといった整備が必要になります。意思決定や投資対効果をジャッジするために、情報システムに特化した会議体が設置されることも多く、事務局は情シスが担うことが多いです。また、ITガバナンスに関する活動も増えるのがこの規模の特徴です。
三つ目は、ID統合やデータ活用のためのデータウェアハウス、データ連携といった大きい規模だからこその新しいインフラ基盤の導入がはじまるのも特徴的です。小さい規模だとなかなか出会わない製品に触れたり、そういった製品を販売しているのは大手・海外のITベンダーだったりするので最先端の技術だったりと、なかなか刺激的な経験ができます。
情シスの仕事は企業によって千差万別、だがしかし傾向はある
情シスの3つの種類を説明しました。もちろん、それぞれの情シスでどんな役割で働くかによってやることは変わります。しかし、情シスという機能が、会社の中でどのような役割で存在しているかを押さえておくのはとても重要です。
たとえば、同じ料理を作るという仕事であっても、チェーンの飲食店なのか、個人経営のお店なのか、高級なレストランなのかで、期待されることや向かう先は全然変わるのと同じです。
情シスという組織は、実際には働いてみなければわからないことが多いのは事実です。しかし、規模によってある程度の分類はできます。会社が成長していて、情シスがとても忙しいといった場合は、情シスの役割が大きくなっている可能性があります。
情シスに転職を考えている方は、ある程度の傾向を掴むことができます。こんなはずでは・・・をさけるために、参考になれば幸いです。
「情シス」を知りたい方はこちらをどうぞ