提案会では、言われないとなかなか気がつかない要注意サインがある
発注側の立場で仕事をして15年以上経ちます。これまで作ってきたRFPは数知れず・・・コンサルやRFP作成専門会社にもお願いしたこともありますが、いろいろ苦い経験しました。(いまだにRFP書いています)
さて、RFPを受けたコンサルやベンダーが提案書をつくり、いざ提案会。ドラマがあります。前評判がよかったのに、提案会で全然駄目だったとか。逆に、全然期待してなかったのに、提案会がものすごくピカイチだったりとか。
そんな提案会ですが、これからご紹介する事象は、提案会でこんなことに出会ったら、少し疑問を持った方がいいですよと言うもの。
小さい金額なら気にすることないです。でも、提案会をやるくらいですから、発注金額はかなり高額なはず。だからこそ、いろいろと神経張り巡らして提案会に望みたい。
見たり聞いたり感じたら、ぜひ注意したい10選
ざっとこんな感じ。
—–< 提案会編 >—–
【01】説明がうますぎる
【02】いろんな人がはなす
【03】豪華な会議室とショールームと接待
【04】偉い人を見て話している
【05】提案会中にどんどん人が増える(Web開催限定)
—–< 提案書編 >—–
【06】細かいところは良さそう、しかし結局何言っているのかわからない
【07】提案依頼書と提案書の中身があっていない
【08】一般論すぎる
【09】提案書がデザイン重視
—–< 番外編 >—–
【10】正攻法ではないやり方をする
提案会編
【01】説明がうますぎる
一見良さそうに見えますね、ええ、見えます。ここでみなさまに質問。その説明が上手い方が実際にプロジェクトが開始されたら実行をリードする方でしょうか?ここに罠があります。
多くの提案会では、提案する側は万全の準備で提案会に挑みます。世の中、しゃべりが得意な人は必ずいます。提案会出席者の参加者や知識レベルに合わせて、話し方を変える。もちろん重要です。
一方で忘れてはならないこと。発注していざ提案内容の実行となった時です。実行メンバーは提案会のメンバーとガラッと変わって、はじめましてのあいさつ。全然、会話も通じない。これ、あるある。
【02】いろんな人がはなす
提案会で、かわるがわる説明する人が変わるといったことはよくあります。QAの時間がある場合、さまざまなレベルの質問が飛び交い、それに応えられる人が回答するというのはよくある光景。
よく知っている人が話す。一見、問題ないように見えますが、実はこれが大アリ。回答した人は、プロジェクトの実行に関わるでしょうか?
プロジェクトの提案書を書いた人、営業、製品に詳しい人。受注がかかっているので、提案する側は必死です。それはいいのですが、その親身になって一生懸命説明してくれた人たちが、受注した後に実行するチームにアサインされるかどうかはまた別の話。
提案チームと実行チームは別なことはあるあるなので注意が必要。提案会だけ、スーパーなチームを組んでいるといったことはよくあります。
【03】豪華な会議室とショールームと接待
場合によっては提案する会社に招待されることがあります。立派な会議室に通されることがある。案件・会社・提案内容によっては、ショールームがあり、いろいろと紹介されることもあります。最近はあまりみないですが、接待がセットになっていることもある。
同じ時間を多く過ごすことは、いろいろと関係性が密になります。これ自体は良いこと。しかし、「立派な会議室とショールームと接待」は「提案内容」とは関係ない。
【04】偉い人を見て話している
提案会で、やたらと偉い人を狙って会話してくる。多少はもちろん必要です。ただ、こういった会社は、何か問題があった時に秘密裏に一番偉い人に話を持っていき、知らないところで話をまとめたりしてくる可能性あります。
ほんとか?とおもう方もいるかもですが、実際に数回経験しています。信頼関係にひびはいる。まぁ、そもそもあまり気持ちの良いものではない。
【05】提案会中にどんどん人が増える(Web開催限定)
最近では、Web会議で提案会をやることが増えました。場所という制約がなくなるため、誰でも参加できます。
なぜかを聞いたことはないのですが、提案会中にどんどん人が増えていくことがあります。気がつくと、びっくりする人数になっている。
多くの場合、参加メンバーというのは決めて提案会を実施します。してないのであれば、した方がいいです。「決めた事」を「守る」と言うことは約束。
ちょっと時間が空いたから参加してみよう・・・といったそんな気軽な会議ではない、とても重要な会のはずです。一定の緊張感は必要です。そんな重要な会議の位置付けを理解できないというのは、今後も重要な局面で「気軽」に「配慮なく」対応される可能性ありです。
提案書編
【06】細かいところは良さそう、しかし結局何言っているのかわからない
どんな分厚い提案書でも、結局なに?と簡単に説明できなければ、それはかなり危ない資料。
個別個別はそれっぽくて良いが、全体を俯瞰した時に整合性が取れてない資料はよくある。各担当が分業してがっちゃんこした資料によくある。こうなると、それぞれの実行が分断していて、成果が限定的になります。
そもそも、結局何をしたいんだっけ?とシンプルに言えないようであれば、気にした方が良いです。
【07】提案依頼書と提案書の中身があっていない
ちゃんと提案依頼書(RFP)が作成されていることが前提となります。そのうえで、そんなことないでしょ・・・と思われるかも知れませんが、あります。
提案する側からしたら、第3の提案といったことを言うのかも知れませんが、事前に確認・合意したい。でないと、提案会で「これ?なんだ?」と多くの人の頭にクエスチョンが浮かびます。
提案依頼書には「やりたいこと」「課題」「悩み」などが記載されており、それを解決するために提案書で「解決できます!このくらいお金いただきますがね」と言うのが基本的な構図。守りたい。
【08】一般論すぎる
一般論なので、否定できないしそのとおりといったことばかり。パワポ職人と説明が上手な営業が組み合わさると、騙されていまう。油断していると見抜けないです。
見抜く方法は簡単。提案資料の会社名を別の会社名に変えてみましょう。それで通用するなら、それは使いまわされた提案書。あなたの会社向けの提案書ではありません。
提案会までの間、ちゃんと理解しようとしている会社からは様々な質問がくるはずです。これが極端に少なかったり、事務的な質問の会社の場合も要注意。
こういった場合の提案書。体制図のメンバーは「TBD」になっていることが多い。営業だけで進めているからこうなっている可能性が高いです。
【09】提案書がデザイン重視
コンサルやウェブデザイン・アプリといった開発の提案会でよくみます。とにかくデザインがかっこいい。でも、騙されてはいけない。必要な提案内容はちゃんと入っているか?重要視すべきは見た目ではなく内容です。
一方で、わかりにくい文字だけの提案書も危ない。物事が整理されていない可能性が高い。
番外編
【10】正攻法ではないやり方をする
たまにあるのが、提案を進めているチームが知らないところで、社長同士がトップ会談とかするケース。やるのは否定しないですが、少なくとも提案を進めているチームに話を通すのが筋。
にもかかわらず、あの手この手を使って、裏でトップ同士の会議をセッティング。知らないところで、知らない合意がされたりする。変な圧力がかかる可能性あり。
場合によっては手に負えなくなる可能性あります。モチベーション下がるやつですね。
完璧で究極の5つの極意
❶〜❸がいますぐにでもできて、❹❺は少し時間と手間がかかります。でも、やると効果バグツンです。
- PMに提案の説明を全部してもらう(QAは除く)
- 「RFPに対する理解」のページを入れるよう指定する
- 「サマリーページ」を入れるよう指定する
- 提案書の目次を指定する
- 3つのカテゴリで評価する
この5つをやることで、事前にかなりの不安点を一網打尽できます。
❶PMに提案の説明を全部してもらう(QAは除く)
説明が下手でもいいのです。重要なのは、実行責任者であるPMがこれからやろうとしていることを腹落ちして理解しているか?提案書を作ったのは営業で、実行責任を持つPMが中身を知らないと言うことはよくある話。
PMが説明すると言うことは、提案会までにはPMを決めなさいと言うことになります。「難しいです」と言っている会社もありますが、重要な評価項目であることを伝え、頑張ってもらいましょう。
ただし、QAも全部となると流石に可哀想です。あくまで提案会までの前に練習ができる「提案書の説明」までです。
❷「RFPに対する理解」のページを入れるよう指定する
ちゃんとしたところは、こちらが言わなくても提案書に必ず入れてきます。「当社(提案する企業)の理解」と言うものです。
・RFPにはこんなこと書いてありましたね
・課題・悩み・やりたいことはこうですよね
・こんなことを目指したいんですよね
といったもの。我々の理解はあってますよね?これを前提としてこれから提案に入ります・・・という流れになります。ここがずれていると、そもそもの提案が提案依頼(RFP)に沿っていないことになります。
❸「サマリーページ」を入れるよう指定する
一般的にエグゼクティブサマリーと言われたりします。基本は1枚から多くて3枚。このページは誰が見てもわかるよう、結論が書かれていること。チェックするポイントは次の3つ。
シンプルに全体が理解できること
サマリーページを見るだけで、何を言いたい提案書なのかがわかることが重要です。細かいことは後ページ。ただ、突き詰めると「言いたいことはこれです!」というもの。
このページにぐだぐだ書かれているようであれば、提案内容が整理できていなのと同じ。
後続ページと整合性があること
「サマリー」とは「要約」とか「要点」のこと。後続ページには詳細が書かれる。つまり、新しい情報は基本出てきてはダメなのです。
それを許すと「サマリーには書かれてませんが」のオンパレードが続き、結局サマリーの意味がなくなる。そのくらい、サマリーって難しく重要。
提案書の重要なことが理解できること
物事には濃淡があります。提案書にも必ず伝えるべきこと、伝えなければならないことなど、濃い部分があるわけです。それがちゃんと書かれていることが必要です。
❹提案書の目次を指定する
ここからは、難易度あがります。
3社に提案依頼を出し、提案書が届きました。ある会社は運用費が入っているが、ある会社は運用費の記載なし。ある会社は、プロジェクト体制図が名前入りであるが、ある会社は体制図すらない。ある会社は費用の明細がついているが、ある会社は総額のみ。
あなたに質問。比較できますか?
これを解決するのは、提案書の目次を提案依頼書(RFP)で指定することです。そうすると、必要な情報が必ずそろいます。各社独自に提案したいこともあるはずなので、指定する目次の中には「独自提案」という項目を設けてあげればOK。
難易度が高い理由は、この目次をどう作るか。プロジェクトの特性を考慮しなければならないので大変ですが、やる価値はあります。
❺3つのカテゴリで評価する
3つのカテゴリ。それは「経営の視点」「業務の視点」「システムの視点」です。提案会では、それぞれのカテゴリで評価する人も異なる。読んでそのまま。
経営の視点 : 経営陣の評価(経営陣が実施)
業務の視点 : 業務部門の評価(利用部門が実施)
システムの視点 : システム視点の評価(情シスが実施)
このやり方が良い3つの理由がこちら。
1. それぞれ専門領域の人たちが評価できること
2. システムがわからない人が「システムを高評価する」と言うことが避けられること
3. 会社視点で網羅性が担保できること
難易度が高いのは、この3つのカテゴリは良いものの、それぞれの評価項目をどうするか。これはちゃんと考える必要がある。プロジェクトによるので「これだ!」と言うのは一概には言えませんが、ぜひこの3つのカテゴリは取り入れてみてください。

<情シスおさえどころ>
提案依頼書(RFP)を書くのは大変です。でも、できれば外にお願いするのではなく、頑張って情シスでつくりたい。最低限の必要なことは記載する必要はありますが、形は下手でもいいのです。
提案依頼書(RFP)を作る過程で、情シスは経営課題や業務課題を学べる。多くの関係者との複数回の会話を通して、関係性も構築できる。そんな経験を通して、徐々に強い情シスになるのです。作り方がわからなければ、「作り方」を支援してもらい、作成するのは情シスという方法も取れます。何事もやらなければはじまりません。