情シスでコンサルの活用を考えはじめたら知っておくこと・選び方・継続におけるポイント

コンサルは会社も人もピンからキリまで、最終的には人になる

 情シスで働いていると、どこかで「コンサルタント」と名乗る人たちと仕事をする機会があります。情シスで契約するケースもあれば、他部門や経営陣が契約したコンサルと仕事をするケースなど、さまざまです

 一般的に、以下が共通項としてあげられます。

  1. 単価は高いため、一ヶ月の決められた時間ではたらく
  2. 何かしらの専門家であり、その領域に精通しているとされる
  3. 名乗ればコンサルなので、ピンからキリまで多種多様

単価は高いため、一ヶ月の決められた時間ではたらく

 単価はエンジニアより高いです。場合によっては1ヶ月の単価が500万超えてきます。単価があまり高くない場合は、1ヶ月フル稼働といったケースもありますが、多くは一ヶ月の何%稼働するかといった契約となります。

 そのため、仮に単価500万であっても20%稼動の場合は月100万円の価格になる。チームを組んで支援となる場合は、チームをまとめるリーダーが稼働20%とか30%、メンバーが80%とかってケースが多いです。

❷何かしらの専門家であり、その領域に精通しているとされる

 コンサルを名乗るため、一般的には何かしらの専門家であり、得意とする領域があるとされています。情シスが直接的に多く出会うコンサルは、ITコンサルやPMO、セキュリティコンサル、特定製品のコンサルなど。間接的になると戦略コンサルやある特定のビジネスコンサルといった方々となります。

<情シスおさえどころ>

 戦略コンサルやビジネスコンサルの中には、ITにあまり精通していないコンサルがいます。そんな方々に対して、IT用語を連発し、そんなことも知らないのかとマウントをとりにいく情シス部門を見ることがあります。たぶん、認めて欲しいんでしょうが、絶対にやってはいけない。むしろ積極的に協力するべき。多くのコンサルは、レポーティングをキーパーソンにかならず行います。第3者からの良い評判は信頼度が高いため、ぐるっと回ってあなたに良い形で返ってきます。つまり、逆もしかり。

❸名乗ればコンサルなので、ピンからキリまで多種多様

 名乗ればあなたもその日からコンサルです。有名なコンサルファームから来た人でも転職したばかりで、1ヶ月前まではSEやってましたみたいな人もいます。コンサルになるために、何かの資格が必要なわけではないですから。名乗ればあなたもコンサルです。

コンサルからの支援内容・提案書の見方と抑えるべきポイント

 コンサルは何かを作ったりはしません。やりたいことや悩み・解決したいことがある。しかし、何をどう進めればいいのかわからない。それに対してコンサルは支援します。

 コンサルを選ぶ時はとても注意しないと、情弱ビジネスの悪いパターンにハマります。結果が出ていないに、お金だけ出て行く。いろんなところで、よく見ます。

 うまくコンサルと連携して仕事をするコツは、コンサルの役割・立ち位置・おかれた事情といったことを理解するのが遠いようで近道です。

 皆様がコンサルに依頼・相談する内容は千差万別ですが、それをコンサルが支援するステップというのはだいたい共通しています。手法はだいたい決まっているんです。

Step1. ゴール設定や未来像の設定
Step2. 現状把握と論点整理
Step3. 課題設定
Step4. 解決案・実行案の提示
Step5. 実行支援・合意形成の支援

 これは目新しくもなんでもなく、AsIs-ToBeフレームワークと言われるもの。コンサルの活動は基本的にこのステップを踏んでいきます。

 みなさまが何かをコンサルに相談・依頼し、コンサルが支援可能と判断した場合は「提案書」があなたの手元に送られてくるはず。その提案書の中身が、構成はどうあれこの考えと大きく外れている場合は注意が必要。

 ゴールがやりたいことや悩み・解決したいことの解消ではなく、一部の作業を引き受けているだけの可能性あり。それは業務委託と変わらない。これが提案書のチェックポイントです。

 稀にありますが、そもそも、提案書がないところは依頼してはダメです。ものを作らないからこそ、しっかりと説明をしてもらい、理解し、納得してから仕事を依頼するのが鉄則です。

 これから説明するStep1〜Step4までを提案書の段階で仮説をたてられないようであれば、頼まない方がいい。コンサルは基本、仮説検証であるべき。「やってみないとわからない」というコンサルがいたら絶対にNG。ここでそれを許してしまうと、未来永劫「やってみないとわかりません」が成立します。

Step1. ゴール設定や未来を描く

 あなたの相談・依頼した事柄に対して、必ず仮説で「ゴール」「未来像」が示されます。それが達成されたら、基本的には活動終了だからです。3ヶ月なのか、1年かかるのか、それは相談・依頼事項によります。

 長期間の場合は、いくつかのフェーズに分けられ、そのフェーズごとのゴールが提案されてくることもあります。

 モノを作らないからこそ、このゴール設定や未来像は重要なのです。これを示さず、やること・やれること中心の提案書は注意が必要。終わるタイミングがわからず、ずるずるとあなたの懐から、お金が出ていきます。

Step2. 現状把握と論点整理

 ゴールや描いた未来を実現するためには、現状把握と論点整理が必要です。コンサルの提案書には必ず、「現状をどう把握するか」「どう整理していくか」といった活動が含まれていなければなりません。多くはヒアリングやドキュメントの確認といった活動になります。

 未来ばかりが書かれていたら危ないと思っていてください。実現可能性が低い、単なる夢物語で、あとは形を作る後続のベンダーなどに丸投げする可能性があります。

 たとえばあなたのゴールが、東京駅に行くことだとしましょう。行き方は徒歩?自転車?車?新幹線?飛行機?いやいや、ちょっと待ってください。あなたはいまどこにいますか?それが現状を把握するということです。

Step3. 課題設定

 ゴール・未来に対して、今いる現状がわかりました。この2つがわかると、ゴール・未来と現状の間にどのくらい開きがあるかがわかります。ゴール・未来に到達するために、現状に対して何をすればいいのか。これが課題となります。

Step4. 解決案・実行案の提示

 設定した課題をひとつひとつクリアしていくために、どう進めて行くのか?それが、解決案・実行案として示されます。実行計画といっても良い。何人のコンサルがアサインされるのか?期間はどのクリアなのか?前提条件や想定されるリスクなども提示されます。

 解決案・実行案となっていますが、報告書という形の場合があります。そのときは、活動はここで終了。例えば、現行システム調査・セキュリティリスク調査・プロジェクト診断といったものが該当します。

Step5. 実行支援・合意形成の支援

 解決案・実行案の多くは、ゴール・描いた未来に向かって行くために、実行が伴います。多くの場合、その実行支援をそのままコンサルがおこないます。

 よくあるのが、システムの企画構想やRFP作成をおこない、開発ベンダーが決まったあとはPMOとしてプロジェクト支援をするといったモノです。

コンサルを選ぶときの確認する5つのポイント

1.専門領域と実績・資格を確認する

 大きい会社でも小さい会社でも良い人もいればそうでない人もいる。結局はどこまでいっても、担当するコンサルタントに大きく依存します。

 ぜひチェックしたいのが、専門領域に基づいたこれまでの実績と保有資格。実績のところは「やってきたこと」ではなく「成果」を聞きましょう。

 「支援」だからこそ、コンサルタント自身の価値はなにかをちゃんと考えている・理解しているというのはとても重要です。

 ちなみに大きい会社でも小さい会社でも、逃げる時は逃げます。コンサルは・・・

2.入社時期・コンサル業界の年数を確認する

 その会社の入社時期を確認しましょう。もし、転職したての場合は前職は同じようなコンサル業界なのかそれ以外なのかを確認。少なくとも、コンサル業界に最低1年いれば安心。それ未満は注意が必要。

 1年未満はコンサルタントとしての働き方をそもそも知らない可能性が高い。1ヶ月前までSEやってました・・・という方が会社変わっただけで、高い単価でくることがあります。本来は、コンサルの仕事の仕方を知って、そのうえで価値を提供をしなければならない。

 開発しかやったことない人が、コンサルとして企画構想や要件定義支援とかで入られるとマジで地獄です。そして、このケース・・・めっちゃ多い。特に、人を積極採用しているコンサルの会社は注意、あたる確率高くなります。PMOなんか、半分以上あぶない。(管理人調べ)

 これらは営業から説明を聞くのではなく、可能な限りアサイン予定の本人から、本人の口で説明してもらうのがおすすめ。営業はどこまでいっても営業で、説明がうまいのでごまかされる可能性ある。

 また、チームで支援の場合は、チームリーダーがしっかりしているか。若くて未経験でもパフォーマンスが高い方はいます。チームリーダーがしっかりフォローさえできれば、高くない単価で高い結果を出してくれます。

3.現状に関心を示し、実行も視野に入れ提案してきているか?

  「こうするべき」「目指すべき未来像」。極論、未来のことは誰でも書けます。パワーポイント上手い人なんかは、とてもきれいな未来像をかいてくれるので、見ているこっちも気持ち良い。ただ、注意が必要。

 現状を把握して、未来との差(ギャップ)を洗い出し、そのうえでどう進めるのかが難しいのですよ。そして、実行が一番大変なのです。 この実行のことまで考えて提案してきているかが重要。

 現状を知る・実行も視野に入れるということは、客のことを知らなければなりません。客の悩み・課題を理解しなければならない。とっても基本ですが、面倒だし時間がかかる。未来だけというのは、この基本を行わずして、それっぽく見栄え良くしている証拠です。

 未来だけにフォーカスするコンサル、実はかなり多いです。とくに、なりたてコンサルあるある。最近読んだはやりの本をベースに、綺麗な絵を書いて自分に酔ってる。迷惑な自己満足。

4.説明の仕方・はなし方に違和感はないか?

 コンサルだからって、何も特別な人ではないです。ただ、勘違いをしている人やヤバめの人はいます。とにかく普通に会話できていることが重要です。

 参考までに、「逆張りの説明」「極端な論点」「遠慮がなさすぎる言い方」「危機感煽り」「世界の名言・格言の多様」をする人は遠慮したほうがいいかもです。話がおじょうずな方が多いので、「おっ!ちょっとこの人違うかも」と自分が弱っている時はぐらっときちゃう。

 普段からのコミュニケーションに、そういった何かを意図したテクニックを使ってくる人に、あまり良い人はいないです。

5.話が短いか?結論は明確か?数字があるか?

 コンサルは時間単価が猛烈に高い。できるだけ効率よく仕事をしたいのですが、説明が長く何いっているかわからないといった人はたくさんいます。可能な限り、断りましょう。そんな人に支援してもらおうものなら、ずっとストレスになります。

 また、数字はとても重要。とにかく「やってます」で済ませようと思えば済む世界。進捗やゴール達成状況など、いろいろと数字で会話できるかは重要です。

コンサルを継続するか判断する3つのポイント

1.どこをみて仕事をしていたか?

 課題をみて仕事をしていればOK。え?普通じゃないかって?かなりの確率で、「依頼者」「キーパーソン」「偉い人」をみて仕事をしているコンサル多いです。

 お願いしたことを気持ちよくやってくるコンサル。それ、課題解決ではなく、あなたを単に気持ちよくさせているだけの可能性があります。その見極めは重要。課題を見ていたら、場合によってはあなたに対して「No」をいう場面も必ずあるはずです。ご機嫌取りや、やたらに「YES」と言ってくる場合にはご注意を。

 一方で、あなたと駆け引きなんかしているようであれば、絶対にやめた方がいいです。重要なのは信頼関係が構築できているかです。

2.問題を誰かのせいにしていたか?

 問題を誰かのせいにする。重要なのは、解決なはず。犯人探ししても意味がない。こういった他責の発言が多いコンサルは注意が必要です。

 ものを作らないからこそ、コンサルの人たちは顧客がどのくらい満足しているかを気にします。全員とは言いませんが、本能的にできるだけ自分たちの非になるようなネタは潰しておきたいと潜在的に考えている人は多い。

 特に、システム開発のPMOとして入った場合は注意が必要。プロジェクトの成功率を高めるためにPMOがいるわけです。うまくいかない場合は、PMOにも責任があるはず。開発ベンダーを悪者にしていたら要注意。

3.仕事の相性はよかったか?

 とても感覚的ですがとても重要。難易度が高い課題などを進める場合は、言語化しにくい領域があったりします。その場合、あなたと同じようなものの見方ができて、壁打ちの会話ができるといったことはとても重要になってきます。

 「あうんの呼吸」で仕事ができるコンサルにであったら、それはあなたにとって長く付き合うべきビジネスパートナーです。