情シスが無能と言われる4つのタイプとその対策【根本は組織問題】
「情シス 無能」。よくネットで検索されるキーワードです。情シスが無能と言われた時のその根本原因は、組織の問題です。情シスの専門分野である「ITをしっているか」、業務量に対して「人的リソースは充足しているか」の2つの軸をもとに4つに分類され、それぞれ原因が異なります。
- 偽組織型
- 寄せ集め型
- 兼務型
- ひとり型
「情シス 無能」に関する多くの記事は、アウトソーシングを目的としている会社が書いているので、個別具体的な業務内容に紐付け、だからアウトソーシングにしませんか?という流れです。残念ながら、鵜呑みにしてうまくいきません。
そもそもアウトソーシングする業務内容の整理ができないくらい無能なんです。そんな状況の情シスがアウトソーシングを検討したところで、結果として無駄にお金を払うのがオチです。
A:偽組織型
偽組織型とは?
「偽組織型」は、組織として存在していますが、実態はそれぞれがバラバラで活動している情シスです。原因は、仕事ができない人が情シスのトップについているから。これ、不思議とマジで多いです。(詳細はこちらをどうぞ)そして、だいたい上司と部下が仲が悪い。人的リソースも足りていて専門知識があるメンバーが揃っているのに、情シスとして機能していないのが面白いです。
上司のよくわからない指示に振り回される一方で、実態は部下たちが頑張って回していたりする。しかし、人間ですからモチベーションには限界があります。そのうち、報告・連絡・相談もなく、多くのことを現場で判断しはじめます。
主な症状と問題箇所
やらなければならない仕事の放置、最低限のことだけしかやらないといったことが頻発。つまり組織としての業務の優先順位づけができていない状況となります。他の部署は迷惑この上なく、情シスが職務怠慢に見えること多々。残念ながら、こんな情シスで働いているメンバーもつらいのです。全くの悪循環。
問題は組織のトップにあります。本当に会社としてシステム部門を強くしたいと考えるのであれば、トップを交代させるしかない。この時に間違ってはいけないこと。その会社にあったITの専門知識を持っている方を選ぶというのはかなり難易度高いです。
どうするか?
欲張らず、普通に仕事ができる方を置くのが正解で、これであればITの知識がなくても任命はできます。情シスで適切な組織マネジメントができれば、あとはITに強いメンバーが仕事してくれます。強い情シスに生まれ変わるはずです。
転職を考えている方に視点を移します。この偽組織型の情シスに転職してしまった場合はかなりつらいです。面接で必ず部門長と面接をするはずです。ITの知識の確認は必要ですが、仕事が普通にできそうかどうかを確認することは必須です。可能であれば、働いているメンバーと顔合わせができると良いです。なにかよそよそしい雰囲気を感じ取ったら、気にした方が良いかもしれません。
B:寄せ集め型
寄せ集め型とは?
「寄せ集め型」はどんな人材が情シスに必要かわからず、なんとなくパソコンとかに詳しそうな人や、やる気がある人を集めた組織。案外、ITで会社をよくするぞというポジティブな気持ちを持っている人が多かったりします。
また、ITがわからない経営陣が「IT業界で働いていた」というだけで採用をして集めた組織の場合もあり、結果として十分なスキルを持っていない、もしくは明らかにミスマッチな人材を採用して人数だけ充足しているケースもあります。稀にですが古い会社だと、どこの組織でも活躍できない人が最後に行き着く組織として存在している場合もあります。
主な症状と問題箇所
とにかくITスキルが低いので、社内のちょっとITに詳しいひとからは相手にされていなかったり。また、仕事をするITベンダーなどからも舐められていることが多いので、不利な契約を結ばされたりとか、それこそアウトソースや運用・保守でお金を多く払っていること多いです。ただ、人は良かったりするので他部門からすると多くの人が心の中でモヤモヤを抱えながら仕事をしていることも。
どうするか?
組織を立て直す場合、実は一番大変なのがこの寄せ集め型。組織のトップとして仕事をできる人を置いたとして、今いるメンバーをどうするかという問題が残ります。外資であれば、配置転換という手も比較的とれるのですが、日本企業だとなかなか難しい。
稼働しているシステムもごちゃごちゃしていてシステム鳥瞰図すらなく、全体像がわからない。障害が発生するたびにヒヤヒヤです。こういった組織を立て直すには、トップとともに優秀なエンジニアを最低でも1名いれて、組織改革を進めるのが基本です。
寄せ集め型情シスは、会社の機能としてみた場合は課題が大きいですが、転職する先として見た場合は見方が変わります。もしあなたがシステム・ITに精通していている場合、猛烈に活躍できる可能性があります。
C:兼務型
兼務型とは?
「兼務型」は情シス専門の組織がそもそもなく、総務部といった部門に所属していて、できる範囲でシステム関連の業務を行っています。小さい会社に多くみられ、そもそもITやシステムの重要性がわからない、もしくは必要とされていないケースです。本社機能自体が最小限の人数で運営せざるを得ない制約のなかで兼務という形にならざるを得ないです。
そもそも兼務なので、あえてこういったところに転職される方はいないと思いますし、転職サイトでの募集もそうそうないです。
D:ひとり型
ひとり型とは?
「ひとり型」はひとりもしくは数人で情シス業務をおこなっている情シスの形態。成り立ちは会社ごとにバラバラですが、共通しているのは「パソコン・IT・システム等」ITっぽい話になったら全部担当しなければならないということ。
もちろん、難易度なんて無視。扱っているモノの数が少なければ楽しく仕事ができますが、多くの場合はそうではなく、圧倒的仕事量に忙殺されます。ひとり型が辛いのは「圧倒的仕事量の多さ」でありながら「周囲の理解が得られない」こと。これにつきます。
主な症状と問題箇所
不思議とひとりもしくは少人数で情シスをやっている方は責任感が強い方が多いように思います。そして、案外これが問題。会社からすると、それで回っちゃっている、もしくは回っているように見えてしまうのです。もう、負のサイクル。他部門から見ると、とにかくお願いしても「忙しいのでやってくれない」という見え方をされることが多い。お互い不幸ですね。
どうするか?
この状況を脱するには理解者を増やして、情シスの人的リソースを増やすしかない。それしかないです。その状況をつくるためには、あえてキャパを超えた仕事はしない(頑張りすぎない)ということも考える必要があります。
そのくらいやらないと、いつまでたっても「なんとか回っている」と思われて、ひとり型を抜け出すことはできません。
もし皆様がひとり型を転職先として考える場合は、仕事量がある程度コントロールできるかどうかを事前に把握しておいた方が良いです。具体的には残業時間になりますが、ブラックな会社でタダ働きだけは避けたいですね。
情シスが無能な場合、よくネット記事で言われている個人の問題は表面上であって、根本は組織の問題です。問題は原因がわかれば、手の打ち方は決まります。是非、参考にしてみてください。
情シスの組織運営を知りたい方はこちらからどうぞ