情シスへの転職理由が必ずかける3ステップ【5職種の例文付き】

情シスへの転職理由が必ずかける3ステップ【5職種の例文付き】

情シスへの転職理由が必ずかける3ステップ【5職種の例文付き】

多くの方が、正しい転職理由の作り方・整理の仕方を無理しています。「転職理由をネガティブな表現からポジティブに変える」は正解。問題は、ポジティブな表現に変えるその対象。「自分の感じたこと・考えたこと」をいくらポジティブにしてもだめで、表現を変えるべきは「今の環境」についてです。

ステップは次のとおり。ポイントを押さえれば確実に作れます。下の方には、例文も載せていますので参考にしてください。

  1. ストレートな転職理由を洗い出す
  2. 環境視点での事実整理をする
  3. ポジティブな表現に「環境視点の事実」を変える

さて、まれにポジティブな理由で転職を考える方がいらっしゃいますが、ほとんどの方がネガティブなはずです。いろんなサイトでこの辺りの情報は載ってますが、有名どころのソースとしては厚生労働省の「令和2年雇用動向調査結果の概況(P17)」。

そりゃそうですよね、居心地良かったらずっと会社にいますから。そして、面接官も実はそんなのはわかっています。転職理由はそもそもネガティブで良い。そして、それをあえて言う必要はない。それを踏まえてどう面接での転職理由を作るかが重要です。

じゃあ、なぜわざわざ面接官は転職理由を聞くかというと、また同じ理由で辞めてしまうリスクがあるかどうかを確認しているのもありますが、あなたの本気度をみている。

「転職理由がちゃんと分析されて考えられた筋の通った説明になっているか」というのは、どんな理由があれ新しいところで働くために、多少の時間を割いて考えてきたよね?ということに繋がります。本気度を測る一つの目安ですね。採用側として、そのくらいはちゃんとやってこいよということ。だから、「ポジティブな表現」にするという作業を頑張らなければならないのです。

転職理由を考える上で理解しなければならない2つの重要なこと

❶転職とは今よりも自分に合った環境を探すこと

重要なことの一つ目は、「転職とは今よりも自分に合った環境を探すことである」を理解すると言うことです。物事を丁寧にきっちり確実にやることが好きな方が、飛び込み営業だけしかない会社で仕事をしていたら、ずっとストレスです。人と会話をすることが大好きな人が、ITを駆使して1日に一回も話さないような仕事のスタイルが基本とされる会社だと、どこかで我慢の限界は訪れます。

まずはこれを理解するのが、転職(退職)理由を考える上での第一歩です。そして、この「環境という事実」を転職理由にすべきです。特に情シスへの転職を考える方は、おなじ情シスからではなくIT業界からの方も多いです。ここをしっかりと理解すると、なぜ情シスで仕事がしたいのかに明確に答えることができます。

厚生労働省のレポートであげられている代表的な転職理由を見てみましょう。だいたい、多くの方にあてはまるはずです。みんな同じです。

  • 仕事の内容に興味を持てなかった
  • 能力・個性・資格を生かせなかった
  • 職場の人間関係が好ましくなかった
  • 会社の将来が不安だった
  • 給料等の収入が少なかった
  • 労働時間、休日等の労働条件が悪かった

❷ネガティブな自分の思い・考えは受け入れて良いが、それを理由としない

重要なことの2つ目は、こういったネガティブな部分を受け入れて良いと言うこと。否定も肯定もしなくて良いのです。そこになにか後ろめたさを感じる必要はない。そのままでいいのです。

多くのサイト等で言われている言い換えのやり方は、本来そのまま受け入れてよい「ネガティブな自分の感情・考え方」を「ポジティブにしましょう」というもの。これは、このネガティブな部分を「よくないもの」という前提で話が進んでいます。「自分の感じたこと・考えたこと」をいくら言い方変えても言っていることは同じです。

うまくポジティブに言い換えられる人はOKです。ぜひそれで進めてください。残念ながら、ちゃんとできる人はそんな「転職理由」のサイト見ないです。

多くの人は頑張ってポジティブにしたところで、どこか後ろめたさや嘘をついているような感覚になるでしょう。そんな状況ですから、実際の面接ではドキドキするでしょうし、しどろもどろになるのが目に見えてます。そもそも表現がポジティブになりきれてないこと多いです。

転職理由の考え方と作り方の手順

例えばあなたが辞めてしまった後を埋めるために、新しい方が採用されて着任する可能性は高いです。あなたと全く同じ役割・責任だったとして、その方はあなたより楽しく仕事をするかもしれません。

この状況は、あなたの問題ではなく、あなたと環境の相性が悪かったと言うことだけです。それ以上でもそれ以下でもないのです。

一般的に言われているネガティブ表現をポジティブ表現にする作り方の危険性

まずは世の中一般的に言われている転職理由の作り方。ネガティブな部分をポジティブな表現に変えるという方法。論理構成を整理すると以下のようになります。

いくら表現を変えたところで、言っていることは同じ。面接官から「なぜですか?」と突っ込まれると多くの方がしどろもどろ、もしくはネガティブな本心を言わざるを得ない。

突っ込まれなかったとして、面接官は多くの候補者と合っています。言い換えくらいは簡単に本心を見抜きます。そう、面接官に「同じ理由ですぐやめられるのでは?」と思われちゃうんです。

ネット記事によくあるポジティブな表現として紹介されている回答例は、実際の面接でよく出逢います。よく出会う5選はこんな感じ。その場しのぎの表現が多いので、「なぜですか?」と質問するとネガティブな理由が返ってくるか、しどろもどろになる方が多い。飛びついて使うのは危険なんです。

おすすめしたい転職理由の作り方は「環境」という事実を軸に考えて整理する

じゃあどうするか?「おかれた環境」という事実を軸に考えて整理するがおすすめです。一般的に言われるやり方に比べたときのデメリットがあるとすれば、考える手間が一つ増えると言うことです。

ステップ1ではストレートに自分の転職(退職)理由を意識しましょう。ネガティブでOKです。それを受け入れます。そして、それで終わりです。

ステップ2で今の働いている環境の事実整理をします。例えば情シスをひとりで担当している方は、なんでもひとりでやらなければならない環境に置かれているはずです。さて、ここで思い出して欲しいのです。

転職とは今よりも自分に合った環境を探すことであるとお伝えしました。転職(退職)理由を考えるポイントはここ。必ず、今の環境に何かしら不満があり、新しい環境を求めているはずです。

ステップ3で、この今の環境の不満をポジティブな表現に変えてみます。実はこれって、ポジティブでもなんでもなく普通の分析なんです。なので、よっぽど意地悪な面接官は別ですが、多くの人がそうだよな・・・と納得できる内容になります。

一般的に言われている転職理由の作り方は、「自分の感じたことや考え」に視点が置かれています。いくらネガティブをポジティブにしても無理がある。そうではなくて、「環境」に視点をおいて考えましょうということ。「環境」は事実ですから、誰も否定できない。結果として、納得度が高くなります。

よくある転職理由と環境(会社)から参考となる例文6選

厚生労働省のレポートにある代表的な転職(退職)理由と今勤めている会社を環境として、参考例文を6つほどご紹介します。作り方のイメージがつくかと。

「仕事の内容に興味を持てなかった」 x 「ソフトウェアハウス」

(これまでの経験を生かして)
直接ユーザーから要望を聞いてアイデアを出しながら開発したい

実際に働いてみて、仕事の内容に興味が持てなかったというのはよくあります。大きい会社であれば、部署異動という選択肢がありますが、小さい会社だとそんな選択肢自体が難しい。そんな状況と仮定して、理由を環境(今の会社)につながるように整理してみましょう。ソフトウェアハウスの場合、プライムベンダーからの受託開発を主としている場合が多く、要件定義に関わることはできません。自由度は少なく、依頼事項をルールに基づいて品質を担保して開発を行います。

仕事の内容に興味がでないのは、そういった会社の事業構造が影響していると考えることができます。情シスはプライムベンダーのその先にいます。直接ユーザーと会話をして、要件整理をしたり、ユーザー課題を自身のアイデアで解決するような仕事をしたいという方は多いはずです。

「能力・個性・資格を生かせなかった」 x 「SIer」

(これまでの経験を生かして)
中長期的な視点で、事業にITで貢献することにチャレンジしたい

能力・個性・資格を生かせないのであれば、それを生かせる環境に身を置けばいいだけです。では、生かされない理由を環境から探ってみます。今回のケースはSIer。大規模な案件が多く、プロジェクト単位での働き方やお客様が情シスであることはよくある話。また、いろんな理由から、明らかにおかしいことに対してもNoと言いにくい状況に多々置かれます。

そうではなく、本当にエンドユーザーがやりたいことを理解し、目先の響きが良い言葉や解決策ではなく、中長期的視点にたってITで事業に本質的に貢献したい。もしかしたらそういったダイレクトに事業を意識して、ITのプロとしての働き方がしたいというのが転職理由かもしれません。

「職場の人間関係が好ましくなかった」 x 「直接支援中小企業型」

(これまでの経験を生かして)
情シスで、チームという働き方を通して専門分野を磨きたい

直接支援中小企業型はいろいろと大変です。周りの理解があれば自分で判断し、周囲の方の困りごとの解決はもちろん、頼りになる存在として重要な役割を担えます。残念なのは、そこまで理解がある会社は少ないということ。ただ、そこで経験したことは自信をもってよいです。この場合の悩みは、理解者がいないため何でも屋になる傾向があることかもしれません。まさにここが転職を考えるきっかけ。

同じ情シスでも「チーム」という働き方を通して、複数人で悩みを分かち合い、切磋琢磨し合いながら、何でも屋的存在ではなくシステムのプロとして仕事をしたいというのが転職理由になるかもしれません。

「会社の将来が不安だった」 x 「情報システム子会社」

(これまでの経験を生かして)
企画や要件定義にチャレンジしたい

情報システム子会社は会社の成り立ち上、親会社を見て仕事をしなければならない構造にあります。これはどんなに頑張っても変えられません。親会社・子会社の関係性から、会社自体の仕事の内容が決まります。多くの場合は、開発・運用・保守が中心であり、企画や要件定義は親会社が行う場合が多いです。一般的な下流工程の経験をしっかりと積むには良いですが、親会社が不安定な経営状況になると確実にその影響を受けます。

企画や要件定義をしてみたいというのは、一つの立派なキャリアパスであり、そして面白さの一つです。会社の将来が不安というのは会社の成り立ちに依存した理由からきているかもしれません。

「給料等の収入が少なかった」 x 「SES」

(これまでの経験を生かして)
当事者としてより責任を持ってITで貢献する働き方がしたい

SESを生業としている会社で働いている方は、お客様先に常駐して技術と労働力を提供します。契約する側からすると、必要な時に必要なリソースを確保するという課題の解決にはなるものの、働く側の視点にたつと、キャリアパスがなかなか描きにくい構造にあります。結果としてそれは年収に影響します。

SESの働き方の最大の特徴である常駐は、いろんな会社を知ることができます。その中には、こういった会社で働きたいなというヒントがあるかもしれません。情シスに置き換えるとするならば、例えば当事者としてとかより責任を持ってとかと言い換えることができます。案外、転職のヒントは身近に多く転がっている可能性があります。

「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」 x 「コンサルティングファーム」

(これまでの経験を生かして)
経営目標・課題に対して当事者として企画・提案したい

コンサルファームは給与も高いですがその分単価も高いです。モノを作ることはなく、課題解決をするために短期間で高いパフォーマンスを期待されることが多いです。お客様と信頼関係をいかに構築するかが重要ですが、良い関係になればなるほど逆に深く入れない壁みたいな物が見えてきます。

そうゆう仕事だと割り切って仕事ができるかたはコンサルタントが合っている方です。これは良い・悪いではなく、仕事に対する考え方の違いです。もしそこに物足りなさを感じるようであれば、それはもしかしたら当事者として経営目標や課題を解決するといったことかもしれません。実際、第3者での働き方では絶対に知ることができない情報に触れることができたり、だからこそ新しい解決策が見つかったりします。


最後に。転職理由を考えたら、一つだけチェックを。その転職理由は今の会社(環境)で「できない」ということをちゃんと確認してください。理由がもっともでも、面接官に「今の環境(会社))でもできるんじゃない?」と思われてしまったら、転職理由になりませんので。

「情シス転職」を知りたい方はこちらからどうぞ