「情シスが嫌われる」は本当なのか?【ネット記事を調査・解説】

「情シスが嫌われる」は本当なのか?【ネット記事を調査・解説】

「情シスが嫌われる」は本当なのか?

まず先に断言すると、「情シスが嫌われる」は嘘。好かれている情シスもあります。次に、嫌われることがあるとすればそれは組織ではなく、そこで働いている特定の「人」です。

ひとつひとつ紐解いていきます。まず、情シスが嫌われる理由をネットを検索するとよく出てくるのがこちら。

  • 情シスは、融通がきかないから
  • 情シスは、専門用語だらけで会話にならないから
  • 情シスは、利用部門を理解していないから

ここで皆さんにぜひお伺いしたい。仕事をしていて、他部門から上記のような対応されたらどうですか?嫌ですよね?話したくないですよね?

情シスなので、ITの専門性という特徴がありそうですが、人事や財務経理、営業部門なども専門部隊です。情シスだから特別ということはないんです。そう、これはどこの部署・部門でも同じ話で、情シスだからという話ではないんです。

え?「ITは特別でそもそも理解が難しいはず?」。では、さらにお伺いしたい。自分の組織を理解して欲しいのと同じくらい、他の部門を理解してますかね?

共通言語の存在、それが会社によって異なることを理解しよう

ITベンダーやプログラミングを専門とする会社、Webサービスを提供している会社などで働いていると、IT用語を使っても多くの人の間で同様の理解ができるでしょう。それは、会社がITを主力事業としており、会社内でIT用語が共通言語になっているからです。

事業をおこなっている会社はどうか?「ウォーターフォール」「アジャイル」「要件定義」「WBS」などなど、これらの言葉は情シス以外の部門との間では、基本的に通じないと考えなければなりません。

仮に会話ができたとしても、それは本質的に理解していないことが多く、どこかで事故が起こります。では、どんな言葉を使わなければならないかというと、多くの場合はその会社の主力事業で使われる言葉が共通言語になります。

また、どこの会社に行っても必ず使われる共通言語が会計用語です。これを抑えていると、事業部間のみならず、経営層と会話ができるようになります。

これをわかっていないというのは、英語圏にいって、自信満々で日本語でずっと話し続けているのと同じ。会話成り立たないです。

ネット記事の情シスについてはここに書きましたが、こういった「嫌われる」みたいな危機感をあおる記事からビジネスに繋げようとしている会社が「鉄板の営業スクリプト(通称:危機感煽り)」として書いているので、あまり鵜呑みにしない方が良いです。冷静に考えれば、普通のことです。

せっかくですので「人事部 嫌われる」「経理部 嫌われる」「総務部 嫌われる」とかで検索してみてください。情シスと同じような記事がたくさん出てくると思います。組織の特徴的な部分はあるものの、少し抽象度をあげると書かれていることは大体同じですよ。

情シスで嫌われるのは組織ではなく人

ベンダーや開発会社から情シスに転職する人は、実は注意が必要です。ベンダーや開発会社の仕事の進め方をそのまま情シスに持ってこようとするとかなり危険。特に、それまで普通に使っていたIT用語を悪気なく多用してしまうことがあります。

最初のうちは、「専門家だね」と許される可能性が高いですが、「会話ができない」という場面が続くと、どこかのタイミングで不満にかわります。これを理解していないと、いくら優秀でも嫌われます。

年末調整の説明を専門用語をならべ、期限を一方的に告げられ後は理解できないあなたが悪いみたいな態度をとられたらどんな印象を持ちますか?立替精算の間違いを馴染みのない勘定科目や経理部しか使わないコードを用いて説明され、すぐに修正しないと「受け付けません」みたいなことを言われたら気持ちのいいものではないでしょう。

他組織ではなく、同じ組織やプロジェクトチームでも考えてみたい。どうにもこうにも会話ができない。こういった人が身近にいた場合どうでしょう?

そう考えていくと、これって仕事ををする上での基本的なビジネススキルの話なんです。そう、「情シスは嫌われる」ではなく、相手を理解せず、共通言語でコミュニケーションがとれない「人」が嫌われるというのが正しい表現です。

相手の立場を考えて丁寧に会話をする。そういった方は問題なく仕事もできて、周りからの信頼も得ているはずです。そんな話です。

情シスでコミュニケーション力は必須

情シスという組織は幅広く、多く組織と関わります。社内でIT用語は通じないという理解のもと、会社の「共通言語」を使って会話をする必要があります。なので、ネットの記事に多く出てくる「情シスで働くにはコミュニケーション力が必要」というのは事実。

社内では社内の共通言語を使って会話をする。一方で、ベンダーなど発注先とはIT用語で会話をする必要があります。つまり頭の中で、社内の共通言語とIT用語をうまく変換する必要があります。これはとても大変ですし苦労する部分が多いです。

だからこそこれがちゃんとできると、ものすごく重宝されます。

是非、次の3つのステップで自身の仕事の仕方を振り返ってみてください。これらを普段から少し意識するだけで、周りの方が受ける印象がぐっと良くなります。

STEP

会社の中での情シスの役割(何をしなければならないか)を理解する

STEP

相手の組織の役割や立場・状況を理解する

STEP

会社の共通言語でコミュニケーションをとる

ITが好きでITだけを相手にしたい、人とコミュニケーションはできるだけ避けたいというかたもいるでしょう。情シスの中にはそういった役割で働けるところもあります。

ただ、残念ながら情シスという組織はどうしても人と会話することが多いです。もしかしたら情シスではなく、システム開発自体を生業としている会社で仕事をするのがあっている場合もあります。あまり情シスに固執せず、柔軟に考えてみるのも良いかもです。

「情シス」を知りたい方はこちらからどうぞ