「情シスあるある」をどこまで信じるか?ネット記事7つを調査・解説

ネット上の「情シス」記事7つを調べてみた

 情シスで実際に働いて10年が経ちました。その前はIT業界です。情シスのネット情報での「あるある」はいろいろと気になることが多く、明らかに嘘だよなと感じるものもあります。

 ちょっと調べてみようと思い、2022年9月現在で「情シス」「情報システム部門」をキーワードにヒットしたサイトをざっとみてみました。的確に説明しているものもあれば、やはり明らかに間違っているもの(運用と保守を理解してないとか)もあったりします。

 結論、情シスを知りたい方は少し古いですがUISSを読んだ方が正しく理解できます。残念なことがあるとすれば、読みにくいし理解が難しいこと。もったいないです。

 順番に解説していきます。

記事を書いているひと

 だいたい3つに分類されます。

 一つ目が、情シス業務のアウトソーシングを請け負っている企業。記事の一番下に「ご相談ください」のボタンあり。これが一番多い。情シスの定義と言いながら、アウトソースしやすい業務を中心に書かれています。

 二つ目は転職サイト。情シスというより、「社内SE」というキーワードで説明されていることが多いです。求められるスキルとかキャリアパスとかがメインになってきます。

 三つ目が個人で、しっかりしているところもあればそうでないところもといった感じ。

書いている内容

 アウトソーシングを請け負いたい企業サイトが上位に来るため、多くの人はその記事を読むことになります。無駄に不安を煽るなぁと感じる記事や「情シス」をしっかりと理解せずに書いている記事が少なくない。

 おそらく、他のサイトのネット記事を参考にしてキーワードだけを抜き出し、あまり知らない人がそれっぽく文章を書いちゃっているからでしょう。おかげで、誤った情報が蔓延しすぎています。

 サイトの目的が、「不安を煽る→相談しよう」なので、情報の質は二の次なんですね。かつ、自社が請け負う業務を「情シスの業務」として書いているので情報が限定的。よくない。

ネットで頻出の情シス説明7選

 かなりの頻度で出会う説明をその真偽とともに。

❶情シスはコストセンターとみられがち

 情シスはよっぽどの特殊な理由がない限りコストセンターです。情シスを検索すると「コストセンター」「プロフィットセンター」という言葉と共に説明しているサイトが多いです。

 これを正確にいうなら、いつまでもコストセンターにあぐらをかいていると、そんな情シスは先がないぞという意味。なぜかそれが、「みられがち」とか書かれること多いです。まぁ、言いたいことはなんとなくわからなくもないですが、嘘はダメです。

 コストセンターから脱却し、本当にプロフィットセンターにするなら、情シスが収益・利益の数字責任を負わなければ、プロフィットセンターとは言えません。その数字責任を背負ったら、それは立派な事業部門です。

 本社機能や情シスとはもはや言わない。こういったことを書いている人は、情シスの予算を組んだことがない(=情シス知らない)ですし、「配賦」を理解してないです。

❷情シスと社内SEの違い

 これを同列で比較すること自体おかしい。「経理部門と経理担当の違い」「人事部門と人事担当の違い」を説明しているのと同じ。

 「情シス」とは「情報システム部門」のことで組織。「社内SE」は情報システム部門や事業部門で、システムエンジニアとして自社のために仕事をする人のことを言います。つまり、組織と職種を比較しているんです。

 仮に比較するなら「SEと社内SEの違い」。説明として扱うなら「情シス・社内SEとは?」です。

❸情シスは理解されにくい

 これは半分あたりで半分はずれ。

 確かに、ITという専門知識で仕事をするので、経営層や他の部からわかりにくいところはあります。さて、皆さんに質問です。皆さんは、経営層や他の部門のことをどのくらい知っていますか?そうです。お互い様ですよ。

❹情シスは嫌われやすい

 嘘です。組織と人の話がごっちゃになってます。そもそも情シスは会社ごとに担う業務が違います。いっしょくたにできない。

❺教育や制度が整っていない

 これはほぼ正解。お金をかけたらその分リターンを期待するのが会社というものです。その会社の仕組み・基本を考えれば、プロフィットセンターの人材育成を重要視するのは自然です。

 よっぽど大きい会社か情報システム部門のトップに理解がないと、難しいでしょう。こういった状況が、キャリアパスが描きにくいとか人材不足やスキル不足につながります。

❻情シスの立場が軽視される傾向あり

 会社によります。

❼変化が求められる

 半分あたりで半分うそ。最近では攻めとか守りとかDXとかの流れで「変化が必要」とか言われますが、「組織が変わる必要がある」といった話題は昔から言われ続けています。

 逆に変化が求められない、もしくはこれまで求められなかった組織があるなら知りたい。そんな組織を許す会社、とっくに潰れてます。


 ネット情報は突き詰めると、だれがどんな目的で書いているかを抑えるのがポイントです。情報が何もないよりはあった方が良いです。しかし、それをそのまま信じるようなことはせず、その上で活用したいですね。

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